それは、ギリギリ聞きとれるくらい本当に小さな声で。


「え?言いたい事?」


俺は首を傾げて聞き返し
寧々に確認してみた。


寧々は一度だけ
こくり、と首を振ると俯いてた顔を更に地面に向ける。

だから、俺はそれに従って寧々の言葉を待った。



すると、寧々は目を泳がせながら
震える声で話し出す。


「…あたし、昨日から色んな事…考えて、」

「…うん。」


俺も。
俺もだよ、寧々。


「…ずっと不安…、だった。昴が、ちゃんと…好きでいてくれてるのか…。付き合ってから、ずっと。」

「……うん。」


だからこそ、俺はこうして話に来た。
寧々に、気持ち全部伝える為に。

二人で、ずっと笑い合っていられるように。




落とすように呟く寧々の言葉に、ただ相槌を打つ。


「…だからね、あたし……っ、」



だけど、寧々はそこで言葉に詰まると
突然堰を切ったように、泣きだしたのだ。



「え、ね、寧々?」

慌てる俺。


思わず伸ばした手に
寧々は、泣きながらも俺を避けるように背中を向ける。


その瞬間、嫌な予感が脳裏を過ぎって。



まさか、寧々――――。