――――――…



ぼんやりと浮かぶ雲を眺めていたら、いつの間にか空は暗くなっていた。

そんな空を見上げて
あぁ、空ってこんな風に夜へと変わるんだ、と思ったり。



すると、突然

「やめろ。」

と声が飛んで来て、俺の意識はようやく現実に戻された。



振り返った俺は
安堵の溜め息を漏らして、隣に座った相手から視線をはずす。


「何だ、悠か。」

「何だじゃねーよ、何してんだお前は。」

「…何って、空見てる。」

「そうじゃねぇっつーの。それだよ、それ!」


悠が指差した先には
俺の手に握られたタバコ。

そして100円ライター。



「あぁ、これか。」


と、ぼやいた俺は

「どんな味してんのかなぁ、と思ってさ。」

でもマズイな、これ。
そう言ってタバコの箱を宙に投げる。


それを見事に俺の上でキャッチした悠は、呆れた様子で俺が買ったタバコをポケットに入れた。



「お前らしくねぇ事すんな。」


そう、一言付け足して。