「レオにね、ロゼが料理上手いって聞いて、お菓子作ってもらいたくて!」


この城では、仕えているのは私しかいない。


よって、食事の準備は私の仕事であった。



しかし…


「…メイ様、今までの3食も、私が作っていたのですが」


「………え!?」


たっぷりと3拍置いた後、驚いたメイ様。


「そうなの!? あんな美味しい料理を!?」


「…美味しいかどうかは…」


面と向かってそのような言葉を言われ、思わず口ごもる。


メイ様は、顎に手を添え、少し唸ってから遠慮がちに尋ねてきた。


「…ねぇ、ロゼ。やっぱりこのお城って、メイドさんとかいないの?」


「いませんよ。誰にも会わなかったでしょう?」