「翼がなくても、助けたけど」


さわ、と木々が優しく揺れた。


レオの闇に映える金髪が、風に煽られる。



その真剣な瞳に呑み込まれないように、あたしはごくりと喉を鳴らす。


「―――っ…」


レオが、急にニヤリと笑った。


「惚れた?」


「………はい?」


唐突なセリフに目を点にしながら、意味を理解すると、沸々と怒りが込み上げてきた。


「あのねぇ!かっこいいセリフ言えば、誰からでも好かれると思ったら大間違いよ!!」


「あっそ。残念」


肩をすくめるレオを睨みつけ、あたしは背を向けて歩き出す。


「メイ、何か忘れてねぇ?」


「何?もう寝るの!」


ピッタリと横について歩くレオを見ずに答える。