好きなひとの一番近くにいるのに…


そのひとの心は、近くにない。



それでもあたしは、胸を張って"幸せ"って言える?



『レオ様には、もう何百年も前から、想いを寄せてる方がいらっしゃいますの』



不意に思い出したマレッタの言葉が、あたしの中の何かを壊した。


「…っ、ネオ…」


レオの好きなひと知ってる?


そう訊こうとして、やめた。



知りたい。


でも、知りたくない。



―――どうしよう。


あたしはこの先…どうすればいいの?



新たな不安が、たちまちあたしを支配した。


レオと一緒にいたい。


けどそれは、そんなに簡単なことじゃないんだ。



「…メイ」



その優しい声音に、あたしは期待を込めてネオを見た。


「いろいろ…思うことはあるだろうけどさ。兄貴を信じてやってよ」