帰り道。 電車に揺られながら、窓から見える景色をぼんやり見ていた。 ―――志、俺眠い――― ふいによぎった過去の言葉。 あれは、もう2年も前の話なのに。 忘れたいのに。 ―――観覧車、めっちゃ楽しかったな――― やめてやめてやめて、忘れたいって。 ―――俺、志と一緒に来れて良かった――― 「次はー………」 車内アナウンスが流れ、自分の降りる駅の名前が言われ、ハッとする。 ………結局考えてるじゃん。 自嘲気味に笑って電車を降りた。 ………考えないようにしなきゃ。 いずれ忘れるから。