恋の公倍数(受験生+塾講師)





その時、廊下の向こう側から、スリッパの音が聞こえた。




誰かが走ってくる。





それは、私のただひとりの親友、千夏だった。






走り方でわかる。


千夏が泣いているって・・・




私は立ち上がり、千夏に向かって走った。




私の胸に飛び込んできた千夏は、息苦しそうにハアハア言いながら泣いていた。




「どうしたの?千夏!!」





「美春・・・あたし・・・・・・間違ってた・・・」





千夏は、廊下にしゃがみ込んで泣き崩れた。