恋の公倍数(受験生+塾講師)




特進クラスの池田にはわからないのかな。



この苦しい受験の合間の恋が、どれほど私達の支えになっているのかって・・・




受かってもいないのに、恋愛なんてするな・・・って思うのかな。


それが大人の考えなら、私は大人になんてなりたくない。



「先生でも好きになんなきゃ、やってられね~よな。毎日勉強ばっかでストレスたまるのにな」



まーちゃんは、コーヒーを全部飲んで、呟くように言った。



私の頬に涙が伝った。

涙が溢れていたことに気付かなかった。



「まーちゃん・・・」


「おい!!どうした?あいつのこと心配してんのか?」




まーちゃんは、私の顔を覗きこんで心配そうな表情をした。



「まーちゃんみたいな人になりたい。まーちゃんは、大人なのに私達の気持ちをすごくわかってくれてて・・・オアシスみたいな存在なんだよ」



「お前が俺を褒めるなんて珍しいな」




顔が熱い。


いろんな感情が溢れ出す。