恋の公倍数(受験生+塾講師)




しばらく立ち話をした後、池田はチラっと時計を見た。



「そろそろ寝なさい。明日も早いから」


私は千夏に目配せをして、ひじで千夏の腕をコツンとした。



「あ・・・池田先生。ちょっと時間良いですか」



私が呼び止めてしまった。


千夏は真っ赤になりながら、私にお礼を言った。


池田は何となく状況を理解したのか、私にだけ部屋に帰るようにと言った。



私は廊下を早足で歩きながら、何度も振り向き千夏にエールを送った。




―うまくいきますように。


―池田が千夏を受け入れてくれますように。


―千夏の恋・・・ 実りますように!!