一人で、夜の街をさ迷った記憶がある。 あれは、中学生の時だった。 歩けば、物珍しそうに声をかける男。 怪しい店に勧誘を要求する男。 怖かった。 こんなに欲望に包まれた町が身近にあったんだね。 それを実感したら、怖くなって逃げ出した。 本当は、復讐しようと思ったんだ。 学校、家族、渡を取り巻く全ての環境。 不純だけど、こういうモノに手を出したら周りが困ると思ったから。 そして後悔させてやるって。 今思うと、我ながら恐ろしい事を考えたものだ。