「雪?」 「ん?」 私はキッチンでお母さんと一緒にお茶を入れていた。 「大丈夫だった?」 ポットにお湯を入れながら、お母さんが心配そうに聞いてきた。 「うん。大丈夫だったよ」 私は、お母さんに心配かけたくなくて笑顔でそう言った。 「なら良かった」 お母さんの顔にも笑顔が戻る。 今日は、あの人に偶然会っただけ。 何もされてないから大丈夫だよ。 嘘はついてないよね…。 私は、食器棚からティーカップを出して、 お盆の上にポットとカップを乗せると、 それを持って、部屋に行った。