「これ、どうぞ。」



寒空の下、俺の前に、缶コーヒーを持った女の子がいた。



かじかんだ手が、一気に温かくなる。




出会ったのは、2年前の冬。



俺の彼女・椎葉優梨(シイバユウリ)



あの頃は、メジャーデビューを夢みて…ギター片手にひたすら歌い続けた。



暑くても…


寒くても…。



ずっと傍にいて


応援してくれたのは


優梨だった。





全ての気持ちを、歌に込めて。



遠くから届けるよ…―



今日はバレンタインなのに



傍に居てやれなくて、ゴメンな。