「夏美、どうしたの?」
山本から離れたあたしに
由紀は聞いた。
「うーん、ちょっとね。」
あっさり意見を否定されて
ショックだったあたしは
なにも言わなかった。
ガンッ
「風呂とかねーのかよ?!」
瑠奈が机を蹴った。
女のあたし達にとって
風呂はかかせない。
一週間も入らないなんて
絶対ありえない。
「風呂に入りたいのか?」
スピーカーからあの声が聞こえる。
「よし、いいだろう。」
そう言うと黒ずくめが
入ってきた。
「シャワーしかないが
かまわないのなら
更衣室のシャワーを使うか?」
「まじいいじゃん!
早く連れてけよな!」
瑠奈が緊張感のない声を出す。
……!!
「このヘルメットは?!」
そうだ。
ここで外して逃げられるかも…
「入っている間は
黒い奴らに見張っていてもらう。
いいだろう。
シャワー中は外してよい。」
やはり、見張りはつくのか…
「行かないのか?」
「行きます!!行きます!!」
結局あたしはヘルメットを
とるのは成功したものの
逃げられるような手段は
得られなかった。
更衣室には窓がなく
ドアも1つしかなくて
そこには黒ずくめの奴がいる。
ここで逃げ出すのは不可能だった。
21:30
一足先に由紀とあたしは
シャワーを終えて
教室に帰ってきた。
そこには甲斐が一人眠っていた。
「……あたし馬鹿だ。
まだ諦めきれないよ……」
由紀はまた泣き顔になっている。
「なんで千佳なんだろ…
あたしこんなに好きなのに。」
「由紀。元気出して?」
「…夏美、甲斐があたしを
好きになってくれるように
頑張ろうかな?
このままじゃやだよ…」
「……そ、そうだよ!
由紀が本気でぶつかったら
好きになってくれるかもよ?」
「夏美、ありがとう!
持つべきものは友だね!!」
いつもの明るい由紀になって。
ただそれだけがあたしの願いだった。
