「‥‥スミレ‥」 僕は、溺れている。 「‥スミレ」 お前に溺れて、もう‥ 「スミレ」 沈んでいくばかり。 上昇する事なんて、無理だろうし、考えてもいない。 僕は最後の瞬間まで溺れていたいと思うから。 「‥スミレ」 「何?」 するはずのない声が耳に届いたのと同時に、ふわりと首に回される腕。 一瞬、頭が真っ白になった。 後ろから抱きついてきたのは‥‥ 「アオちゃん」 紛れも無く、スミレだった。