あの2人の証言が正しいのなら、あの日あの時間に犯行可能な人物は羽田しかいない。

「けどそれだったら任意同行を求めて…」

「礼状とって家宅捜索をする前に羽田が凶器や現金、蛍光灯を始末してしまったらおしまいだ」

まぁそれはそうだけど、強引なことに間違いない。

「もしも羽田が犯人じゃなかった時の事は考えなかったの?」

「それはまぁ…」

しばらく間があいた。

「まぁ、その時はその時だな」

あたしは呆れ返り、里見さんは吹きだした。

確信した。この男は態度と行動が真逆だ。

そしてあたしは、今後もその真逆の行動につき合わされるのだ。

そう考えると、なんだか腹が立ってきた。

あたしはミルクを手にすると、里見さんが淹れてくれたブラックの中に注ぎこみ、達郎のカフェオレと同じ色にした。

そしてフタや蛍光灯を片付けている達郎のスキをみて、コーヒーカップを入れ替えた。