「どうです、何か見えてきましたか?」

羽田修の部屋から階段のところまで戻ったあたしたちに、浦川警部が意見を求めた。

むろん達郎に対する問い掛けだ。しかし、

「レミはどう思う」

突然パスを回され、あたしはあせった。

「どどどどうって?」

「『ど』が多すぎ」

誰のせいだコノヤロー!

2人だけだったら間違いなく怒鳴ってたが、今の状況だとそうはいかない。

あたしは深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。

「動機が見えてこないのがひっかかるのよね」

やはり気になるのはあの蛍光灯だ。

「物盗りや怨恨でもないとなると…まさか無差別殺人とは考えにくいし」

「そうだな」

「あんたもそう考えてるの?」

「ああ。この殺人事件には、絶対に明確な動機があると思う」

「そう言い切れる根拠は?」

「台所の蛍光灯が外されて、スチロールのフタがそばにあったからさ」

「あの、全然わからないんですけど」

訊いても達郎は答えてくれなかった。