「下瀬さんとこの御夫婦ですか?そりゃ仲の良い御夫婦でしたよ」

アパート1階の管理人室にて。

あたしたちと警部は管理人の村本良彦に話を聞いていた。

「会社が倒産してこんなアパートに引越してきたっていうのに互いを支えあってねぇ。子供はいないみたいだったけど…」

下瀬夫婦とはそれなりに交流があったらしい。

村本は身振り手振りを交えて説明をした。

「わかりました」

達郎はうなずいた。

「ところで停電がおきた後、あなたがこの部屋を出るまでどのくらいかかりましたか」

「そうだね…10分ぐらいかなぁ」

「部屋を出てすぐに政美さんと会ったんですよね」

「そうだよ。玄関のライトが点いてないんで不思議そうにしてたっけ」

「政美さんが帰ってくるまでこのアパートに人の出入りはありましたか」

「いいや。5時半ぐらいに下瀬さんの旦那さんが帰ってきて以降は、人の出入りはなかったよ」

「それは確かですか」