達郎に目をやると、まだスチロールのフタを眺めていた。

「どうしたの」

「ここ見てみろよ」

達郎の指したところには小さな穴が2つあいていた。

「あら?何かしら、その穴」

のぞき込んできた里見さんに達郎はフタを手渡した。

「最初からあいてたようには見えないけど」

しげしげとフタを眺める里見さんを置いて、達郎は6畳へと戻った。

そして部屋の中央に立ち、あたりを見渡した。

「この部屋の電気が消えたらどうなりますかね」

「そりゃ、真っ暗になるでしょうな」

浦川警部は窓の外を指した。

「この部屋に街灯の光は入ってきませんし、今日は月も出てませんから」

達郎は納得した風にうなずいたが、あたしはなぜそんなことを訊いたのか理由が分からなかった。

「この部屋が真っ暗になると何だっていうの?」

「物を探しにくいってことさ」

答えを聞いても、さっぱり分からなかった。