「大丈夫ですか!?」

あたしが声を掛けると、男性はおびえた表情を向けた。

完全に腰をぬかしているようだった。

達郎が開けっ放しのドアから部屋に入った。

あたしもその後に続く。

部屋は6畳2間。
アパートの外観に見合った間取りだった。

その部屋で女性がひとり立ち尽くしていた。

年齢は40才ほど。

蒼白の顔面と、その足元に転がった、買い物袋からこぼれ落ちた商品が、この部屋で何が起きたかを物語っていた。

「レミ」

達郎が声だけをこちらに向けた。

「わかってる」

あたしは携帯を取り出した。

部屋の中央には、腹部から血を流した男性が仰向けで倒れていた。

その顔から生気が抜けていることは、誰の目から見ても明らかだった。