「わかったわかった俺が悪かったよ」
そう弁解しながら、振り返らずに早歩きをする私を追うミヤ。
「なァハル、こっち向いてみろよ」
今度は、私の膨れっ面をカメラに収められると思ったので、彼を見向きもせずに歩いていると、突然ミヤが前に立ちふさがった。
その手にカメラはなく、両手でハンカチを広げて、こちらに向けている。
一体何のつもり?と、ミヤの目を睨み付ける。
それでも彼は相変わらずの澄んだ瞳で私を見つめる。
そして、そのハンカチで右手を隠し、ハラリとハンカチを投げ出すと、彼の右手には、一輪の深紅の薔薇があった。
「!」
彼の手さばきに見入っていると、彼はその薔薇を私の左耳に髪と一緒にかけながら言った。
「ハル知ってるか?
ハワイとかで左耳に花を飾るってのはなァ……」
そこまで言うとミヤは言葉を止め、「ま、いっか」とおどけた風に言った。
「教えてくれないの?
今日のミヤはイジワルだ」
するとミヤはくるりとこちらに向きなおし、
「俺はいつもやんちゃなガキなんだよ」
と言って笑うと、行くぞ、と言ってすたすたと歩き出した。
私はむくれた。
何だか色んなものを掻き乱された気分。
一気に、形成を逆転されたよう。

