ミヤのアパートは私の住むアパートとは反対側にあって、歓楽街を抜けなければいけなかった。
朝のこの街は、夜の賑やかさがウソのように静かな眠りについている。
酔いつぶれたゴロツキたちが道の端で狂ったようにぐっすりと熟睡していた。
そばに転がっていた空き瓶を一蹴りすると、空き瓶はちょっとだけ重く弾んで転がった。
裏街を抜けると、学生や会社員でにぎわう大通りに出た。
今日は平日なのに、大学を休んでしまった。
コンクリートでできた大きな橋の上に、ミヤの姿はまだなかった。
人混みを避けて手すりにもたれ、この街の風景を眺めた。
車や人が騒がしい。
私の住む街とはまた違う騒々しさ。
雑然として正義の矛盾だらけで、大嫌い。
やっぱり私には似合わない。
――カシャッ
不意に、軽やかなシャッター音がした。
驚いて振り向くと、そこには、構えたカメラから顔をあげて爽やかに笑うミヤがいた。
「……ミヤ!」
「いい顔、いただき」
そう笑うミヤの笑顔は、早朝の清爽さより、ずっと眩しかった。
「……サイテー!」
不意をつかれて写真を撮られた私は機嫌が悪くなって、ミヤにそう言い放つとすたすたと歩き出した。
「オイオイ、そんなに怒ることないだろう、待てって」

