ひとつ、ため息を漏らし、項垂れて地面に視線を落とす。大きい革靴がふたつ、こちらに向かって立っていた。
ゆっくりと顔を上げると、私は予想外の驚きに、思わず口をつぐんでしまった。
ボスがいた。
黙ったままキッドの顔を見上げていると、彼は薄く笑った。本当に、口の端を少しだけ上げてみせるくらい。
私は立ち上がると、彼の瞳を正面からまじまじと見つめた。普段なら、ぱっと目を反らす彼も、私の目を真っ直ぐ見つめ返す。
私は、キッドの革ジャンを掴んで、彼の胸の中に顔をうずめた。
彼の体温と、鼓動とが伝わってくる。
そんな私を、キッドはゆっくりと抱きしめた。
まるで儀式のように、私とキッドはそうしていた。
服越しに伝わる彼の手は、死人のように冷たかった。
私は冬の寒さと、コートをクラウンに置き忘れてきたのを思い出した。

