ここにいる全員がきっと同じことを思っていて、どうしようもなく、もどかしい思いに駆られていたにちがいない。
まるで寂しさとか、苛立ちを全身で表現して、ここにいるから早く助けにきて!と大人に請う子どものように。
気付けば、貴志と力也は獰猛な猛獣のように殴り合っていた。
重い橙色のライトに照らされた彼らは、影になって折り重なっている。
今までのしんとした静けさが嘘のように、周りは何かが弾けたように騒然とし、女の恐怖の叫び声と、観客の煽りとが不安なハーモニーを奏でる。
私の頭上では暴力的な怒声が主張し合って、私はその場に座り込んだままうな垂れていた。
本能だけを持った動物のような二人を、ミノルが押さえつけていた。
少し顔を上げた先にちらりと白井の姿がうつった。
「白井……」
私はすがるように、そう呟く。
「白井っ!」

