貴志は倒れた力也に馬乗りになり、胸ぐらを掴み、声を張り上げた。
「それが分かってるなら、とっくにキッドは見つかってンだろ!」
ミノルも、周りの客も静まった。
私たちの前で初めて取り乱す貴志を、力也は無言で、じいっと見つめている。
貴志は力也の上半身を起こし、もう一発、彼の頬を思い切り拳で殴った。
その拳にはまるで、彼の苦痛と、行き場のない思いとが重なり、重々しい音とともに響く。
「兄貴、キッドんとこ居候してたんだろ!?何で見失っちまうんだよ!」
そう訴える貴志の目には、かすかに涙がある。
そんな貴志を、力也はじっと見ていて、彼の表情は、乱れた長髪で隠れていて読み取れない。
「なんでだよ……」
そう言うと貴志はその場に崩れてしまった。
ミヤとキッドとエミリーを失ってしまい、その三人の影が絡み合って私たちの頭の中でぐるぐると巡っている。
置いてきぼりにされた私たちは、どうしようもない失望と焦燥感の中で、彼らを待つことしかできなかった。
それがいっそう不安で、それでいてそんな自分が情けなく、腹がたつ。

