力也が言う。
「アイツは、一日一回はきちんと自室に帰るんだ、必ず。下着や靴下だとか、着衣は絶対変えるタチなンだよ」
力也はここのところ、ずっとキッドのアパートで二人で暮らしていたから、その辺はよく知っていた。
彼はそこら辺のチンピラよりもずっと潔癖で、そして堅実な男だった。それは私たちも重重知っている。
誰も言葉を交わさない。ただこの重ったるい空気が、私たちを取り巻いている。
私は後悔した。いつも助けてもらってばかりで、彼の異変に気付いてあげればよかったのに。
今はただ、これが取り越し苦労であって、彼が無事に帰ることだけを皆が祈っていた。
するとちょうど、ゆんがにこにこしながら注文したコーヒーを四つ、貴志に渡しにきた。
私と力也とミノルには、一切目もくれない。
なるほど、エミリーが言っていたのはこういうことね。

