少し大袈裟だったかもしれない。駄々をこねる子供のような私に、キッドは困った顔をした。
「どうしたんだよ?」
そう言ってやって来たのは、ボーイの白井だった。
困り果てていたキッドは、白井に救いを求めるように言った。
「あァ、俺でもお手上げさ」
すると、白井が意外なことを言った。
「帰りたくないんだって?
それなら泊まっていくといい」
私もキッドも驚いて同時に白井を見た。
「……クラウンに?」
そう尋ねた私に、白井はけろりと言った。
「構わないよ。
そのソファーで寝ることになるけどさ、毛布はあるし、食料もあるし……」
キッドは少し皮肉をこめて白井に言った。
「まったく、俺たちがどんなにツブれてても外に放り出して、さっさと店、閉めちまうくせによ」
「誰が野郎の介抱をするって?冗談だろ。ハルちゃんはクラウンの大事なお姫様だからな」
白井はわざとらしくキッドを睨んで言った。
二人がこうも仲がいいとは知らなかった。新しい発見だ。
当事者の私はそんなことを考えながら、何となく遠巻きに、二人のやり取りを眺めていた。

