数日後――

こないだできなかった真美ちゃんの占いをしてあげようとした時。

「大変なの大変なの大変なのぉ〝女帝〟!!」

今日はなんのつもりか、黒髪をフアッフアにカールさせた白鳥さんが飛び込んできた。

「聞いてちょうだい〝女帝〟、所長がまたどこかに消えちゃったのぉ!! もうどうしましょうっ!」

あーなるほど。今日はお嬢さまキャラですか。

「し、知りませんよ。……あ、まさかまたこないだみたいな陰謀じゃないですよね?」

「違うわ、今日はね、ただのサボタージュ」

なお悪いね、それ。

「お願いお願い、所長を探すのに力を貸して〝女帝〟ぃ~っ」

「わ、わかりましたわかりましたよ。もう強引だなぁ」

「うふふっ、さすが頼れるのね〝女帝〟」

僕は仕方なく立ち上がり、溜め息ひとつ。

「手伝ってあげますから、だから占い部では〝女帝〟呼びはやめてもらえませんか?」

「あら、そんな些細なこと気にしなくっていいのぃ。さ、早く探しに行きましょっ!!」

「はいはいはい」

「うあー」と憐れみの目で見送ってくれる真美ちゃんにごめんねと合図を送り、僕は教室を出た。

そして白鳥さんは叫んだのだ。

「うちの所長知りませんか――!!」