「というわけです、ご協力を」

強引に、話をまとめようとする彼女の木刀が十センチ前進。

未だタロットカードを手にしている僕の鼻先五センチに据えられた。

「所長が、アナタと所長を探せと言っているのです。ご協力ください、三ノ宮キリュウくん」

ここで、「嫌です」と断ったら、たぶん鼻がへし折られる気がしたし、その予測は外れていないと思う。

真美ちゃんが耳打ちしてきた。

「仕方ないっちゃですよ先輩、もう言うこと聞くしかないっちゃです」

「ん、うん?」

「目の前にいるのは『推研』の副代表で、〝二十面相〟の異名を取る白鳥らりるさんですっちゃ。彼女の怒りには触れないほうがいいっちゃですよ、いろんな意味で」

……その微妙な含みは、なんなんだい、真美ちゃん。

どうやら僕は今手にしているカードを、いったんテーブルの上へ放置しなくちゃいけないらしい。

「わ、わかりました、それじゃ、大恩寺めもりさんの捜索に協力します」

「感謝します、三ノ宮キリュウくん」

こうして、僕は木刀少女と放課後を満喫するはめになった。