今この部室に、僕と後輩の女の子の二人だけでよかったと思った。

なぜってさ、人数がいたら騒ぎになりそうだし。

とはいっても、占い研究会のメンバーは僕と後輩の彼女を含め、四人しかいないのだけど。

あとひとりいたら『研究会』から『部』に昇格できるのに、という愚痴は言わないお約束と、仲間内では暗黙の了解になっている。

木刀は構えたまま、来訪の彼女は言った。

「実は私たちの事務所の所長が行方不明になってしまいました。現在の居場所がわかりません。そこでアナタ達にお訊ねしたいのです。うちの所長知りませんか?」

とてもはっきりと言われたものの、むしろよくわかりません。

「あの、だからどうしてうちに? 占い研究会ですよ、ここ。っていうか、所長ってどなたですか?」

「所長はうちの事務所……ああ、いえ、正確には『推理研究会』の代表です。名前は」

「うあー、あたし聞いたことあるっちゃですよー」

と、僕の正面にいた一年の子が口を開いた。