「だってあのマンションは…、」 柊くんが左側のマンションを指差した。 「ここらじゃ有名な高級マンション。 部屋に防音設備が整ってるらしい。」 今度は後ろのアパートを指差して柊くんは続ける。 「あのアパートは学生ばっかだからこの時間は心配なし。」 「じゃあ、あの家は?」 私は右側の一軒家を指差した。 「あそこの家は…、」 柊くんは一旦言葉を切って、再びにこっと笑った。 「おばちゃんが俺のファン。」