私は慌てて付け足した。 「他に好きなものってないから…。」 どつぼにはまった。 柊くんは何でも顔に出ちゃう人だった。 私はこの時の柊くんの表情が今でも頭に焼き付いている。 照れたような驚いたような、でもそれを必死に隠してる顔だった。 「えぇ~っと。 かりんの最寄り駅はどこ?」 柊くんは誤魔化すようにそう言った。 周りが暗くて良かった。 柊くんは目が悪いから私の顔は見られてなかったと思う。 最寄り駅の名前を告げると、意外な返事が返ってきた。