りんごゆき


『やっぱり行かないで!!』

って叫びたかった。



でも、呼び止めて伝える言葉はそんな事じゃない。



「私の最後の我が儘聞いて。」



これだけは伝えたかった。

伝えなきゃいけないと思った。



「いつでも、どんな時でも、笑顔で唄っていて。

私、柊くんの笑顔も唄も大好きだから。」



たった1つの宝物大事にして。

その手で絶対離さないで。



「幸せになってね。」



振り返って柊くんはにこって笑った。