りんごゆき


柊くんの唄はどれも素敵で大好きだったけど、その日聞いた唄は今までで1番私の心に響いた。

柊くんはなんでこんなに深い詞が考えられるんだろう。

なんでこんなに優しい音を奏でられるのだろう。

なんでこんなに泣きたくなるような声で唄うんだろう。

気付いたら私は泣いていた。



ギターの最後のコードを弾き終わった柊くんが顔を上げた。

私はハッとして慌てて涙を拭った。



「これが俺からのプレゼントだよ。」



柊くんがにこっと笑った。

「大したものじゃなくてごめんね。」