りんごゆき


「だ、大剛さん?」

「『もっと自分勝手になっていいのに!』

さぁ誰の言葉でしょう。」



大剛さんが意地悪そうに微笑みながら言った。



「あいつさ、ホントかりんの話しかしないんだよなぁ。

まぁ俺たちのバンドはかりんで保ってたようなもんだからな。」

「私で?」

「ホントはさ、かりんと会う前に解散する予定だったんだよ。」



私は目を見開いた。

そんな話初めて聞いた。



「ある夜みんなを集めて

『やっぱ音楽やめるなんて無理だ!

こんな俺のファンだって言ってくれる子がいるんだ!』

って叫んだ奴がいてさ。」