「音楽は死ぬまで大好きさ。 だけどな…。」 大剛さんは言葉を切って一呼吸おいた。 大剛さんは自分で作ったコーヒーを一口飲んで、 「かりんは大切なものってあるか?」 と聞いた。 私は黙って頷いた。 「俺にもすごく大切なもんがあるんだ。 ものというか大切な人だな。」 「音楽よりも?」 私がそう聞くと大剛さんはまた困った顔をした。 「比べられない、かな。 だけど俺は 『こいつのためなら音楽だって諦められる』 って思ってよ。」