りんごゆき


しばらくして柊くんが口を開いた。



「大剛何か言ってた?」



「特に何も言ってなかったよ。」



厳密に言えば私は大剛さんを見かけたってだけだったからね。



「あいつにだって大切なものぐらいあるよな。」



大切なもの?



私には大剛さんの大切なものは分からなかったけど、人は誰でも持っているんだと思った。

こんな私にだってあるんだから。





「俺らのバンド解散します。」






「……え?」






秘密基地がなくなる時に受けた衝撃がレベル10なら、この時の衝撃は軽くレベル100を越えていた。