『うーんとね、映画が見たいな』


レイナは考えながら言った。


『映画か…了解』


ケイゴはそう言ってレイナの手を握りしめ、二人は手を繋いで映画館へと向かった。


『レイナ、何が見たい?』


映画館に着くなりケイゴは、公開中の映画をモニターで確認しながら尋ねた。


『えーと…あっ、あれが良い。あれ見ようよケイゴ』


レイナはある映画のポスターを指差して言った。


『あれか…わかった』


ケイゴは二人分のチケットを買って、二人は映画を見た。


二人が見た映画は…主人公の男が大切な彼女と夢との間で、どちらを選ぶかでさ迷い歩き続け、最後に二人は永遠に離れ離れになると言う内容だった。


二人がこの時選んだこの映画が…二人への偶然から生まれたメッセージである事を…この時の二人は気付いていなかった。


『レイナ…まだ泣いてるの?』


映画が終わった後も、映画館の表で泣いているレイナにケイゴは優しく言った。


『だって…だって…あの映画切な過ぎるよ』


レイナは泣いていた。


『やっぱりレイナは泣き虫だよな』


ケイゴは笑った。


そしてケイゴはポケットからハンカチを取り出し、レイナの涙を優しく拭い去った。


『ありがとうケイゴ。何か泣いたらお腹へっちゃったな』


レイナはすっかり泣き止み、笑って言った。