『もうー、びしょびしょだわー』
里菜は服の裾を絞った。
リカは水で濡れた煙草に頑張って火をつけていたが、一本も火がつかずその場に投げ捨てた。
『里菜…。あんたにもう一度会えて良かった』
リカは里菜に笑いかけ、里菜の前から立ち去った。
『ちょ、ちょっとリカ!!どこ行くの…キャア!!』
里菜はリカを追いかけようとしたが、足を滑らして転んでしまった。
『もう、痛ーい。何でこんな時に転ぶのよー』
里菜は立ち上がりリカを追いかけたが、もうリカの姿はどこにもなかった。
そして里菜は仕方なく自分の部屋に帰り、濡れた服を着替えた。
そして、リカの事を心配しながら里菜はTVをつけた。
すると、ニュース番組にリカの顔写真が出ていた。
ニュースによれば、リカはある大物政治家の家にナイフを持って乗り込み、警備員を刺し、大物政治家に軽いケガを負わせ逃走中との事だった。
『リカ…何してんのよ、もう!!』
里菜は急いで部屋を飛び出し、夢中でリカを捜し回った。
『ハァ、ハァ、…もうリカのバカどこにいんのよ』
里菜は息を切らし、ふと立ち止まると携帯が鳴っていた。
里菜は急いで電話に出ると、リカからだった。
リカはある廃ビルの屋上にいるとの事がわかり、里菜はそのビルの屋上へと向かった。


