ヒロはそっと窓を開けた。


『レイナちゃん。俺から言うのも何だけどさ…ケイゴはきっとレイナちゃんが好きなんだと思うよ』


ヒロは外を見て言った。


『ケイゴが?』


レイナはちょっと嬉しそうに言った。


『2年くらい前かな…。当時ケイゴが付き合ってた彼女はさ…2つ年上で、気が効いて、いつもケイゴを心配しててさ、二人はすごいお互いを大切に思ってた』


ヒロがケイゴの過去を話だすと、レイナは真剣に聞いた。


『だけど…ある日その彼女は病気にかかり、日に日に弱って行った。ケイゴは彼女を心配し、寝る間も惜しんで毎日のように病院に通った。だけど…病気は良くならずにさ、彼女は亡くなったんだ』


『えっ!?』


レイナは驚いた。


『病気が原因とは言え、ケイゴは大好きだった彼女の力になれず…守れなかった事で自分を責めた。それからケイゴは大切な人を失うのを恐れ、いつしか恋をしようとはしなくなったんだ』


『ケイゴ…』


レイナは呟いた。


『でもね、レイナちゃんと知り合ってからか…ケイゴの奴自分でも気付かないうちに、少しずつだけどまた恋をしようとしだしたんだと思う。…きっと、大切な人を失った自分と同じように、大切な人を失ったレイナちゃんを重ね合わして…そんなレイナちゃんをケイゴはほっとけないんだよ。ケイゴはさ、ちょっと不器用なトコがあるから、そのほっとけないって気持ちが恋だなんてまだ気付いてないけどさ』