1月30日。


『よし、みんな集まったな』


小林誠吾はフレンズのメンバーが全員揃ったのを確認した。


『インストアライブから20日…雑誌に取り上げられて10日…。少しはフレンズの名前が世間に知られてきた。だが、それも狭い範囲での話だ。次はお前たち、地方をまわれ』


小林誠吾は、メンバーそれぞれに紙と封筒を渡した。


『地方か…地方ライブも大切だしな』


シュンはふと紙を見た。


『あれ!?でも、これメンバー全員行き先が違うわ』


里菜はメンバー全員の紙を見て言った。


『その通りだ。シュンは福岡、里菜は大阪、キースは札幌…そして、レイナは名古屋とここ東京だ』


小林誠吾はメンバーに説明した。


『なるほど、五大都市をまわるのか…。でも、レイナはともかく俺たちは歌えない。それでどうやってライブを…フレンズの魅力を伝えるんだ?』


シュンは小林誠吾に質問した。


『フレンズの…フレンズの名前の意味は何だ?』


小林誠吾は腕を組み、レイナの方を見た。


『えーっと、メンバーもファンも、いつまでも支えあって…友達みたいにずっと一緒にいられる事を願って…』


レイナは意味を説明した。


『だろ?なら友達作るのに1番必要なモノは歌やライブじゃない。1番必要なのはハートだろ』


小林誠吾は誇らしげに言った。


『ハートか…』


シュンは納得し、考え込んだ。


『話は以上だ。紙に書いてあるその日のその時間に、そこに行けばウチのスタッフが特設ステージを用意している。くれぐれも遅刻はするな』


小林誠吾はそう言うなり、部屋をさっさと出て行った。