『じゃあ、歌うね。ちゃんと聴いてよ、ケイゴ』


レイナはギターを弾き始め歌い出した。


ケイゴはレイナの歌に耳を傾け、静かに聴いていた。


『ケイゴ、フレンズのデビュー曲はどうだった?』

歌い終わったレイナは笑顔で尋ねた。


しかしケイゴはうつむいたまま返事をしなかった。


『ケイゴ!?』


レイナはギターを片付け、ケイゴの隣に座った。


『スースー』


ケイゴは寝息をたて寝ていた。


『ケイゴ…寝ちゃってるし…』


レイナは眠るケイゴの顔を覗きこんだ。


『ケイゴの寝顔って…可愛い』


レイナは微笑んだ。


そして、レイナはケイゴの隣で星空を見上げた。


数時間が過ぎる頃、ケイゴが目を覚ました。


『ん、ん…ここは…そっか、確かレイナの歌を聴いてて…あっ、レイナ!!』


ケイゴは完全に目を覚ました。


レイナはケイゴの肩にもたれかかり、静かに眠っていた。


ケイゴはそんなレイナを見て、自分の着ていたコートをレイナに被せた。


すると、レイナは目を覚ました。


『おはようケイゴ』


レイナは目をこすった。


『僕たちバカだね。こんな寒空の下、歩道橋で寝てるなんてさ』


ケイゴは笑った。


『ホントだね。でも、ケイゴが隣にいたから全然寒くなかったよ』


レイナは笑顔で言った。


『レイナ…』


『あっ、ケイゴ。見て見て、朝日が出て来たよ』


レイナは立ち上がり、ビルの隙間から顔を出す朝日を見た。


ケイゴも立ち上がり朝日を見た。


『凄くキレイだね。…レイナ、歌ってくれてたのに寝ちゃってゴメンね』


『ホントだよ、ケイゴいつの間にか寝ちゃってるんだもん。でもケイゴの寝顔、可愛いかったよ』


『可愛いかったって…なんか恥ずかしいな』


ケイゴは照れた。


そして、二人は朝日をじーっと見続けた。


朝日も二人の事をじーっと見つめ、照らし続けた。