イルミネーションが灯る街は、少し早いクリスマスムードで賑わっている。


そんな賑わいを見せる街を、ケイゴはいつものように仕事の疲れを抱えながら歩いていた。


『ふぅ…疲れたなぁ。気晴らしに今日は違う道から帰るかな…』


ケイゴはいつもの慣れた道を捨て、違う道を歩いて帰った。


普段は通らない裏道を通ったり、大通りを通ったりと。


そして人通りの少ない歩道橋を上がると、歩道橋の真ん中付近に一本のアコースティックギターが置き去りにしてあった。


『ギター!?何でこんな所に…』


ケイゴはしゃがみ込み、不意にそのギターに触ろうとした。


その瞬間、ケイゴは背後の気配に気づいた。


ケイゴが振り返ってみると、茶髪で髪の長いラフな格好をした女性が立っていた。


『あっ、ごめん。もしかしてこのギターは君の?』


ケイゴが尋ねると女性は深く頷いた。