『そんな事ないよシュン』
レイナはそんなシュンを励ました。
『ありがとうレイナ。レイナは今日まで何してたんだ?』
今度はシュンが尋ねた。
『私はね、私はバイトしながらストリートでずっと歌ってたんだ』
『ストリートって…もしかしてあの例の歩道橋で?』
『うん』
レイナは深くうなづいた。
『レイナならもっと人が集まる場所で歌えば、もっと早くデビュー出来たのかも知れないのにな…まあ仕方ないか。あの場所は特別な場所だからな』
レイナが歩道橋で歌を歌う理由を知っているシュンは、そう言ってニコッと笑った。
『シュン、この曲でOKよ。8階に練習スタジオがあるみたいだし、そっちで練習しましょうよ』
里菜が楽譜片手にそう言った。
『了解』
シュンは椅子から立ち上がり、キースと一緒に部屋を出て練習スタジオへと向かった。


