『よし。じゃあ、明日バンドのメンバーに会わせるから、ミュージックブルーレコードに来てくれ。時間は…そうだな、午前10時だ』


小林誠吾は時計を見ながらそう言った。


『はい、わかりました』


レイナは威勢よく返事をした。


『じゃあ、君を待ってるから』


小林誠吾はそう言って、忙しそうに足速に去って行った。


『レイナ!!レイナ頑張ったな。ちゃんとレイナの歌が伝わったじゃん』


ケイゴは凄く喜んだ。


『うん。ケイゴがいてくれたおかげだよ…ありがとう』


レイナはケイゴに頭を下げた。


『ううん、違うよ。きっとレイナのご両親が力を貸してくれたんだよ。レイナの中から消えることのない両親への思いが、メロディーとなって小林誠吾の心の中で響いたんだよ』


ケイゴは笑顔で言った。


『うん』


レイナは笑顔で深く頷いた。


『あ、そうだ、レイナ。報告。僕は明日からインテリアショップで働く事になったんだ』


『えっ?ケイゴ、やりたい事が見つかったの?』


レイナは驚きながら尋ねた。


『んー、まだよく分からないけどさ…とりあえず自分にとって好きな事だからやってみようと思うんだ』


ケイゴは清々しい表情で言った。


『そうなんだ。じゃあ、明日は私もケイゴも新しい出発の日になるんだね。お互い頑張ろう』


そう言って、レイナは右手を差し出した。


『うん』


ケイゴも右手をだし、二人は握手を交わした。


まるで今夜の星たちも、二人の新しい出発を喜んでいるかのように、一晩中煌めき続けた。