『後で聞いたんだけど…両親の車の前に高校生が飛び出して来て、避けようとして急ハンドルをきった両親の車は、反対車線を走るトラックに激突した…。あの時、その高校生が飛び出して来なければ…って、私の幸せを奪ったその高校生を何度も恨んだ』


レイナはやるせない思いで一杯だった。


ケイゴはそんな悲しげなレイナの表情を、じっとは見れなかった。


『ケイゴ…ごめんね。こんなブルーな話しちゃって、ごめんね』


レイナはそう言って、さっきまでの悲しげな表情を消すかのようにニコッと笑った。


『そうだったんだ。だからレイナはいつもこの歩道橋で、この場所で歌っていたんだね』


ケイゴは納得した。


『そう。ここで歌えばいつも両親が傍に居てくれてる…ただ、そんな気がして。それに、ここで歌えば“私は元気にしてるよ”“独りでも大丈夫だよ”って…天国の両親にメッセージが届くかな!?なんて思って…』


そう言ってレイナは事故現場を見つめた。