1月9日。


白く吐く息が空へと舞い上がり、暗い夜へと消えていく。


決して消える事のない心の傷が、時には人を強くする。


レイナはいつもの歩道橋の上から、下を行き交う車をじっと眺めていた。


『レイナー!!』


ケイゴが歩道橋の階段を駆け上がって来た。


『レイナ、どうかした?ずっと下を見てたみたいだけど…何かあるの?』


そう言ってケイゴは歩道橋から下を見回した。


『調度ね、調度あそこら辺なんだ…』


レイナは道路のいっかくを指差した。


ケイゴはそのレイナが指差す方に目をやった。


『私の両親が5才の時に亡くなったのは、前に話たよね?…あの場所で亡くなったんだ…』


そしてレイナは静かに話始めた。


『私の両親が事故で亡くなったのは…忘れもしない16年前の12月22日。その日は二人揃って私を幼稚園まで車で迎えに来て、その後3人で食事に行く事になってたの。だけど、私を迎えにくる途中に事故を起こして…』


ケイゴはレイナの話を真剣に聞いていた。