『…は、はい』


レイナは元気なく言った。


『…ヒロから聞いたわ。あなたまだケイゴの事を引きずってるんですってね?』


キサラギミサトは心配そうに尋ねた。


『こんなに辛い思いをするなら…ケイゴに出会わなかければ良かった…』


レイナは涙を流した。


そのレイナの一言を聞いたキサラギミサトは、レイナのほっぺたをおもいっきりビンタした。


『ふざけた事言わないで!!そんな事言ったら、ケイゴが可哀相じゃない!!…ケイゴはね、あなたの笑顔が大好きだって言ってたわ。…なのにその様は何よ?いつまで悲劇のヒロインぶってる気?死んだケイゴの気持ち考えなさいよ!!』


キサラギミサトは怒り気味で言った。


レイナはうつむき黙り込んだ。


『…ケイゴはね、ケイゴはフランスで凄く頑張ってたわ。レイナも頑張ってるから、僕も頑張らなきゃって…。ケイゴにはホントに才能があったわ…今更悔やんでも仕方ないけど。…あたしはそんな頑張ってるケイゴを知ってるから、ケイゴが1番応援してたあなたには、このまま音楽を辞めて欲しくない…それがケイゴの気持ちだから。ケイゴのためにも早く立ち直りなさい』


キサラギミサトはそれだけ言い残し立ち去った。


レイナは部屋のソファーに座り、またケイゴの事を考えて泣き濡れたのだった。