『レイナ何やってたんだ?もうライブの開始時刻ギリギリだぞ!!』


レイナが会場に着くなり小林誠吾は怒鳴った。


『レイナ、何かあったのか?』


シュンはいつもと様子が違うレイナを心配した。


『ううん、大丈夫。それより、みんな遅れてごめんなさい』


レイナはみんなに心配かけまいと、明るく振る舞いながら謝った。


そしてフレンズのライブが開演し、フレンズがステージ上に姿を現すと、観客は歓声をあげた。


レイナは満席の客席の方を見つめた。


『皆さん、今日は私たちフレンズのために…こんなにも集まってくれてありがとう。それでは早速聴いて下さい…“夢のかけら”』


レイナがそう言うと、キースの合図で曲が始まりレイナは歌い出した。


会場は盛大に盛り上がり、ライブは順調に進んで行った。


そしていよいよ最後の曲となり、レイナは会場を見回してそっと口を開いた。


『今この会場に来てくれているのかわからないけど…この最後の曲は大切なあなたのために書きました。もし…もしあなたに出会えなければ、あなたがいなければ、今の私はありません…。あなたがくれたモノは、この両手じゃ抱えきれないほど大きくて…大きくて…』


レイナは突然黙り込み、うつむきながら涙を零した。


その様子を見た観客たちは少しざわめいた。


レイナは涙を拭い顔をあげた。


『大切なあなたにこの歌を届けたい。“君がくれた歌”』


レイナがそう言いながら客席を見回すと、端っこの方にケイゴが立ってこっちを見ていた。


レイナはその姿に気付き、溢れそうな涙をこらえて歌い出した。