12月8日


季節が移り変わり、また白い季節が訪れた。


寒さに凍える花たちは、春を夢見て必死に生きようとしていた。


レイナも無事に退院し…もう一度ステージに立つことを夢見て、この日都内にあるレコーディングスタジオへと、新曲のレコーディングにやって来た。


『レイナ。喉の調子はどうだ?』


小林誠吾は少し心配そうに言った。


『いよいよだな。いよいよレイナがまた歌い始めるんだな』


シュンは何故か緊張していた。


『頑張って歌って見ます』


レイナは不安げに言った。


『レイナ。じゃあ、歌って見ろ』


小林誠吾はそう言うなり、フレンズの新曲のカラオケをスタジオ内に流した。


フレンズのメンバーは、レイナの歌声が変わっていないか不安だった。


レイナもちゃんと歌えるか不安で一杯だったが、イントロが流れ終わると同時に、探りを入れながら歌い出した。


『ストップだ!!』


小林誠吾は、曲がサビに入る前に一旦止めた。


『レイナ!!どうした?もう喉は大丈夫なはずだ…前みたいにおもいっきり歌って見ろ』


小林誠吾はためらいながら歌うレイナに言った。


『はいっ』


レイナはそう言ってまた歌い出したが、それでもまだ少しどこか喉に気を使っていた。