すると、降りしきる冷たい雨の中、泣き崩れるレイナの冷たくなった体を背後から誰かがギュッと抱きしめた。
『レイナ。また泣いてるのか?泣いちゃダメだよ』
懐かしいその声に気付き、レイナは堪えていた全ての思いが一気に溢れ出し涙を流した。
『ケ…ケイゴ…どうしているの?』
レイナは涙を流し奮え声で言った。
『レイナが…君が僕を呼んだから、僕はここにいるんだよ』
ケイゴはレイナを抱きしめながら優しく言った。
『ケ、ケイゴー!!』
レイナは振り向き、ケイゴの腕の中で泣きじゃくった。
『レイナに何かあったら飛んで帰って来るって約束したじゃん』
ケイゴはレイナにニコッと笑いかけた。
『ケイゴ…私…私…声が…歌が…』
レイナは泣きながら必死に状況を伝えようとした。
『レイナ大丈夫だから。大丈夫だからさ』
ケイゴはレイナの目を見ながら、ニコッと笑って言った。
そしてケイゴはレイナの涙を指でそっと、優しく拭い去った。
『ケイゴ…』
レイナは涙声で呟いた。
『レイナ。とりあえず部屋に帰ろう。このままじゃ風邪ひいちゃうからさ』
ケイゴはレイナを立ち上がらせ、手を握りしめ歩き出した。
『ケイゴ…来てくれてありがとう』
レイナは前を歩くケイゴにそっと呟いた。
そして二人は降りしきる雨の中、レイナの部屋へと帰って行った。


